雑学

月並・月次(つきなみ)の意味とは平凡なこと!使い方は2パターン

お祝いの席でよく「月並ですが〜」と前置きする人が多いのはなぜですか?
それは「謙遜」をあらわしている言葉だからよ。

月並の意味
ありふれていてつまらないこと・平凡なこと

自分に対して前置きに「月並」を使うことは、自分を謙遜していることになり、相手により丁寧な印象を与えることができます。

ですが、他人に対して使う場合は、批判(否定)にもなり兼ねませんので注意が必要です。

本文では、「月並」の例文を用いながら、否定と謙遜の使い分けを解説しています。

とても便利な言葉ですので、この機会に正しい使い方をマスターしワンランク上の会話術を披露しましょう!

月並・月次(つきなみ)の意味とは平凡なこと!

 月並、月次、意味、平凡「月並」とは、ありふれていてつまらないこと・平凡なこと

「月なみ」の「なみ」はふつう「並」と書きますが、昔は「月次」とも書いていました。

また、「月並」とは本来、月ごと、毎月決まっているきまって行われることを意味しています。

それでは、なぜ「月並・月次」の意味がこのようになったのか、語源から紐解いていきましょう!

「月並・月次」の語源は正岡子規の批判!

語源、正岡子規江戸時代、「月並句合(つきなみくあわせ)」「月並の会」「俳諧の会」などの和歌や俳句の会が毎月開催されていました。

その「月並」が、平凡・ありふれていてつまらないという意味に用いられるようになったのは、歌人・正岡子規の批判によるもの。

子規が、俳句の革新運動で旧派の伝統的俳句に対し、次のように批判したことがはじまりです。

「天保以後の句は概ね卑俗陳腐にて見るに甚だへず。称して月並調といふ(俳諧大要)」

つまり月並調とは、陳腐で新鮮味のない、ありきたりな俳句だと批判したのです。

そこから「月並」という言葉が「平凡・ありきたり」という意味を持つようになり、俳句以外にも使われるようになったとのことです。

「月並」という言葉を、世間に広めたのは、明治の文豪・夏目漱石。彼の小説で、「月並」を「ありふれた」という意味で盛んに使い広まったそうです。

「月並・月次」使い方は2パターン!

「月並・月次」の意味は、ありふれていてつまらない・平凡なこと。

意味だけみると、なんだか否定的な印象を持つ言葉ですが、実は、使い方によっては謙遜する言葉としても使えるのです。

使い分け 相手 使い方
否定 他人 〜月並みだ
謙遜 自分 月並みですが〜

「月並」はポジティブとネガティブ、両方を持ち合わせている言葉となりますので使い方には注意が必要です。

否定と謙遜、例文を使ってそれぞれ解説していきます。

「否定」相手を批判するとき

使い方、例文相手の行動や言動に対して批判するときに使う場合は、否定の「月並」となります。

例文

  • この企画書は月並みだ
  • 月並みな発想で面白味に欠ける
  • 月並みなことしか言わない上司のアドバイスは当てにならない

相手を否定していますので、ネガティブな使い方になります。

ウッカリ使って相手を不快にさせないよう、使う際は注意してくださいね。

「謙遜」自分の意見を述べるとき

使い方、例文前置きとして文頭に使うことが多く、一歩さがって自分の意見を述べる場合は、謙遜の「月並」となります。

例文

  • 月並みですが、末長くお幸せに
  • 月並みな感想ですが、とても面白い本でした
  • 月並みな生活ですが、幸せです

自分に対し使う場合、相手をたてる場合、などに使いますのでポジティブな表現になります。

2つの使い分け、しっかりと覚えておきましょう!

「月並・月次」の類義語も否定的要素が強い!

「月並・月次」の意味は、「ありふれていてつまらない・平凡なこと」でしたよね。

この意味の中にも「ありふれた」「平凡」という類義語が含まれています。

そのほかの類義語をまとめます。

類義語 意味
ありきたり もとからあって珍しくないこと・ありふれていること
人並み 世間一般の人と同じ程度、状態であること
凡庸 すぐれた点がなく平凡なこと・平凡でとりえのないこと
陳腐 ありふれていてつまらないこと
普通 どこにでもあるようなありふれていること・特に変わりがないさま
一般的 特別な物事に限らないで、広く認められ行き渡っているさま

これらの類義語は、「月並」のように謙遜の場合に使うことはほとんどありませんので、注意が必要です。

似たような意味ですので、下記の例文を参考にケースバイケースで使い分けると良いでしょう。

例文

  • ありきたりな仕事ばかりで嫌気がさす
  • ルックスは人並みなのに中身が最低だった
  • 凡庸な才能しかない私にはこれが限界だ
  • 励ましたいのに陳腐なセリフしか思い浮かばない
  • その服のセンスは普通ではない
  • 一般的なルールはきちんと守ろう

「月並・月次」の対義語はザ・普通ではない!

「月並・月次」の対義語は、「普通ではない」「普通とは違う」など一般的ではないことをさします。

対義語は以下になります。

対義語 意味
風変わり 行動・好みなどが普通と違っているさま
非凡 普通よりずっとすぐれていること
奇抜 人の意表をつくこと、ひときわ優れていること
異色 普通とは違った特色を持っていること
卓抜 他のものをはるかに抜いてすぐれていること

これらの対義語もケースバイケースで使えるよう、下記の例文を参考にしてみてくださいね。

例文

  • 少々風変わりではありますが、腕は確かです
  • 彼には非凡な才能を感じる
  • 奇抜なファッションが流行している
  • 日本で奇抜なファッションが生まれる理由が知りたい
  • 前代未聞の異色コラボが誕生
  • 卓抜な演出が話題沸騰の舞台を見に行った

「月並・月次」は上手な前置き表現!

聞いたことはあるけど、意外と使い方を知らないという方が多い言葉「月並」。

目上の方に謙遜する際にとっても便利な言葉ですので、しっかりと使い方をマスターし周りに差をつけましょう!

最後に「月並」の意味をまとめます。

月並の意味
ありふれていてつまらないこと・平凡なこと

【参考文献】
「俳諧大要」著者:正岡子規
「侏儒の言葉」著者:芥川龍之介