雑学

頭取の意味と社長との違い!金融機関によって呼び方が変わる

半沢直樹を見ていてフと気になったのですが「頭取」と「社長」の違いってなんですか?
平成・令和の名作ね!違いは次の通りよ。

呼称 意味
頭取 銀行のトップだけに用いられる呼称
(普通の会社でいう社長のこと)
社長 銀行・会社の業務執行の最高責任者
(会社代表の権限をもつこと)

頭取の意味は銀行のトップ!

頭取、意味、トップ銀行のトップを意味するのが「頭取」。銀行だけに使われる呼称です。

もとは音頭取という雅楽で各楽器の奏者をまとめる首席奏者、いわゆるコンサートマスターのことを言いました。

それが、いつからか銀行のトップを指す言葉となりました。

では一体どのような由来で「頭取」と称されるようになったのか、次の章で解説していきます!

頭取の語源は音頭取りと出資者の代表

「頭取」の語源には2つの説が有力とされています。

  1. 音頭取り
  2. 出資者の代表

それぞれの由来について解説していきます。

①管楽器の首席奏者の音頭取り

頭取、語源、首席奏者江戸時代、歌舞伎の興行で楽屋を取り仕切った人のことを「頭取」と呼んでいました。

「頭取」の語源は、「音頭」つまり「音の頭」で、雅楽の管楽器の首席演奏者を指しています。

これが江戸後期になると、歌舞伎から転じて、米会所(取引所)の統括責任者も「頭取」と呼ぶようになったとのことです。

②為替会社設立の際の出資者の代表

頭取、語源、出資者の代表明治2年に、銀行の前身となる「為替会社」が全国8カ所に設立されたとき、出資者の代表を「頭取」と呼びました

3年後、国立銀行条例に基づき各地に銀行が誕生すると、そのトップも「頭取」としました。

やがて「頭取」という呼称が定着し、国立銀行条例が廃止となった現在も使用されています。

日本最初の会社組織の金融機関は横浜為替会社で、全国に8社設立された為替会社の一つです。

ドル紙幣発行や通商会社に対する融資などを目的として設立されており、貿易港横浜にはなくてはならない存在でした。

ちなみに、他の為替会社7社は数年で解散に至っています。

全ての銀行が「頭取」呼称を使うわけではない!

実は、すべての銀行で「頭取」という呼称が使われているわけではありません。

銀行トップの呼称は、大きく分けると2つあります。

  1. 総裁
  2. 社長

それぞれの事例をご紹介していきます。

①日本の中核「日本銀行」の「総裁」

日銀、総裁「銀行の銀行」「政府の銀行」「発券銀行」として日本経済の中核となる日本銀行、通称「日銀」のトップは「総裁」と呼ばれています。

「総裁」とは政治に関連する機関や団体の代表者に付けられる役職名で、法律で呼称が定められています。

②新たな形態の銀行「社長」

新たな形態の銀行、社長金融庁が分類している「新たな形態の銀行」とは、都市銀行や地方銀行など、従来の伝統的な銀行にはない業務を行う銀行のこと

このような場合は、総じて「社長」と呼ばれることが多いです。

また、新生銀行・あおぞら銀行は、破綻後に「頭取」から「社長」に、インターネット専業の銀行も「社長」と呼んでいます。覚えておきましょう!

銀行名 呼称
日本銀行 総裁
三菱東京UFJ銀行 頭取
三井住友銀行 最高経営責任者
りそな銀行 社長
信託銀行 社長
ゆうちょ銀行 社長
信用金庫 理事長

【補足】
信託銀行は、ルーツが銀行ではなく信託会社だっため、多くの信託銀行では「社長」を使っています。

「頭取」「社長」「CEO」「代表取締役」違いを検証!

「頭取」「社長」「CEO」「代表取締役」とは肩書きの一つですが、それぞれ役割が違います。

呼称 使われる場所 意味
頭取 銀行 銀行のトップ
社長 銀行・会社 会社のトップ
CEO 主にアメリカの会社 最高経営責任者
代表取締役 会社 会社の代表権を持つ人
呼称 使われる場所 意味
頭取 銀行 銀行のトップ
社長 銀行・会社 会社のトップ
CEO 主にアメリカの会社 最高経営責任者
代表取締役 会社 会社の代表権を持つ人

4つの肩書きの大きな違いは、法律(会社法)に定められているかどうか。

法律に定められているのは、「代表取締役」のみで、それ以外は、各会社によって定められている内部呼称。

また、職責も会社によって異なります。

「頭取」と「社長」については前述していますので、ここでは「CEO」と「代表取締役」の違いについて解説していきます。

最高経営責任者「CEO」

最高経営責任者、CEOCEOとは「chief executive officer」の略で、日本語に訳すと最高経営責任者

主にアメリカの会社で使われる呼称で、「頭取」や「社長」と違い、職責の役割がハッキリしています。

日本では「社長」の肩書きは大抵の場合、経営のトップであることが多いため「社長=CEO」と思っている方は多いのではないでしょうか。

ですが、アメリカの会社(日本では外資系企業が当てはまります)では、

  • 取締役(会社の業務執行の意思を決める人)
  • 執行役員(業務を執行する人)

に分けられており、取締役は株主の代理人です。

「CEO」は執行役員の中のひとりであり経営の責任者ということになります。

会社の代表「代表取締役」

代表取締役、会社の代表「代表取締役」とは、法律上の会社の代表権を持った役職のこと。いわば会社の顔!

株主総会・取締役会などの決議に沿って会社の業務執行を行います。

CEOは「最高経営責任者」ですので、1人しかいませんが、「代表取締役」は、1人でなくても良いことになっています。

ここが大きな違いですね!

「代表取締役」が複数人いるということは、それぞれの代表取締役が代表権を持っているということになり、共同経営者という意味ではありません。

複数人いると、

  • それぞれ対等な立場で会社経営に携われる=メリット
  • 決議などで意思決定をする上で複雑になる=デメリット

があります。

少し複雑ですが、間違えやすいポイントなので覚えておきましょう!

「代表取締役兼CEO」の立ち位置とは?

代表取締役、CEO近年多いのが、「代表取締役」と「CEO」がくっついた肩書き「代表取締兼CEO」。

では、なぜこのような肩書きが増えているのかというと…

日本では、「社長」=会社のトップという認識があるので「代表取締役社長」という肩書きでほぼ問題ありません。

ですが海外では、「President(社長)」表記だとその人にどこまでの権限があるのか伝わりにくいのです。

また、日本では法律上「CEO」だけだと何も意味を持たない肩書きですよね。

そのため、法的に認められている「代表取締役」と兼任することで法的効果も生じ、肩書きを見ただけで立場が明確になるのです。

特に訴訟大国アメリカには、法律上の肩書きが必須なのかもしれませんね!

「頭取」と「社長」はいずれもトップ!

「頭取」「社長」は、会社により職責が異なるとはいえ、会社のトップには変わりありません。

  • 「頭、つまりトップを取る」=頭取
  • 「会社の長」=社長

字面で覚えてしまうのが、一番簡単かもしれませんね!

最後に「頭取」「社長」の意味をまとめます。

呼称 意味
頭取 銀行のトップだけに用いられる呼称
(普通の会社でいう社長のこと)
社長 銀行・会社の業務執行の最高責任者
(会社代表の権限をもつこと)