雑学

神父と牧師の違いは服装で一目瞭然!マリアさまで分かるカトリックとプロテスタント

神父と牧師って、パッと見て見分ける方法あるんですか?
服装を見ると一目で分かりますよ。神父はカソック、牧師は自由です。

 神父の服装カソック、牧師の服装自由 神父とはカトリックの聖職者のこと。立襟で前身頃や袖の部分にボタンがあり、足元まで隠れるカソックと呼ばれる洋服を着ています。

一方、牧師とはプロテスタントの教職者のこと。普段は洋服に決まりがないので自由な格好をしています。

本文では、これほどまでに服装に違いが生まれたキリスト教の知られざる大人の事情について、分かりやすく解説しています。

神父と牧師の服装の違いは一目瞭然

神父はカトリック、牧師はプロテスタントと教派は違うけれど同じキリスト教。ですが、服装には違いがあります。

神父は立襟で前身頃や袖の部分にボタンがあり、足元まで隠れるカソック(フランス語でスータン)。

牧師は特に決まりはなく自由な服装が一般的です。

神父の服装はカソック、牧師の服装は自由ではなぜ同じキリスト教なのに、神父と牧師の服装はこれほどまで違いがあるのでしょうか。

この違いはカトリックとプロテスタントに関係がありそうですね!
その通り。同じキリスト教でも教派が違うことによって服装に違いがうまれたんです。

神父と牧師の服装に違いが生じたのはキリスト教の分裂、つまりカトリックとプロテスタント誕生に大きく関係しています。

それではここで、気になるキリスト教の歴史を分かりやすく解説します。

マリアさまの有無で分かるカトリックとプロテスタント

日本でキリスト教といえば、カトリックとプロテスタントが一般的です。

キリスト教は元々ローマ・カトリック教会からはじまり、そこから派生したのがプロテスタント教会。

カトリックとプロテスタントの大きな違いは、教会や学校などのキリスト教施設にマリアさまがいるかいないかです。

それはどういうことかというと…

  • カトリックでのマリアさま
    イエス・キリストを産んだ神の母(聖母マリア)としてマリアさま自身も崇められている
  • プロテスタントでのマリアさま
    イエス・キリストを産んだ一人の人間として捉えられている

 

カトリックでは「神の母(聖母)」、プロテスタントでは「人」なんですね。でもなぜそのようなことになってしまったのですか?
それはプロテスタントが誕生した経緯、すなわちキリスト教分裂に関係があります。

キリスト教の歴史をプレイバック!

キリスト教と聞いて思い浮かべるのは、やはりカトリックとプロテスタント、2大教派ですよね。

この2つの教派の大きな違いは、重きを置く対象が違う点。

【カトリック】神の次に教会
【プロテスタント】神の次に聖書

カトリックの考えに批判、抗議(プロテスト)し、カトリック教会から分裂したのがプロテスタント教会ということになります。

抗議?誰が?何が気に入らなくて?気になることが満載です^^;
「聖書に書いてあることのみを信仰すべきだ!」と確信したルターが発端なのですよ。

世界史の教科書にも登場するマルティン・ルターは、とても有名な人物です。

ルターは腐敗していくカトリックに反抗することで大規模な宗教改革を成し遂げた人物。いわば宗教改革の火付け役。

一体なぜ、カトリックは腐敗してしまったのでしょうか。

カトリックの腐敗は免罪符が決定打

当時、キリスト教の階級の高い聖職者はとても裕福な生活を送っていました。

権力を振りかざし、金におぼれ欲にまみれてやりたい放題。聖職者とはほど遠い生活です。

ですが、それはあくまでも階級の高い聖職者のみ。

地方教会の神父はきちんと信仰生活マニュアルを守り、セレブとは無縁の日常でした。

そんな中、カトリック教会はサン・ピエトロ大聖堂の改修費の為に免罪符を販売します。

免罪符を買えば天国に行ける、どんな罪を犯しても免罪符さえ買えば罪が許されるなどいう名のもとにバラまきお金を集めたのです。

こうしてカトリックはとんでもなく腐敗していきました。

ですが、これに異議を唱える人物が現れたのです。それが、マルティン・ルターです。

ルター登場で同志が集まりプロテスタント誕生

本来カトリックとプロテスタントは共にイエス・キリストを信じる信仰、つまり、聖書が唯一の神からの啓示の本でした。

ですが当時のカトリック教会では、教会や教皇に権威があることを強要され、個人的に聖書を読むことを許されていませんでした。

これに対し異議を唱える人々は迫害され続けており、そんな中販売されたのがとんでもない代物「免罪符」だったのです。

ルターはやりたい放題のカトリック教会を見て、本来の原点 (聖書) から逸脱していると感じたため、激しく抗議。

そして、彼を擁護する同志ルター派が集まりプロテスタント教会が誕生したのです。

これを機に神父(カトリック)と牧師(プロテスタント)には様々な違いが生じたのです。

似て非なる神父と牧師の違い

神父(カトリック)と牧師(プロテスタント)の違いは服装以外にも沢山あります。

  神父 牧師
教派 カトリック プロテスタント
階級 あり なし
職名 聖職者 教職者
性別 男性のみ 男女
結婚 不可
随分ありますね(笑)考え方が違うとこうなるんですね〜
そうですよ。ひとつずつ解説しますね。

教派で呼び方が変わる神父と牧師

キリスト教は大きく分けると「カトリック」「プロテスタント」「正教会」と3つに分けられます。

日本では「カトリック」と「プロテスタント」が特に有名ですが、世界では「正教会」も大きな教派として知られています。

そして、呼び方はカトリックは「神父」プロテスタントが「牧師」です。ちなみに、正教会も「神父」と呼ぶのが一般的です。

シンプルな分け方で覚えやすいです!

階級制度はピラミッドで考えよう

神父の階級制度はピラッミッドで考えると分かりやすいです。

 階級制度

ピラミッドの頂点に立つのは、ローマ・カトリック教の最高位、ローマ教皇。

次に枢機卿すうききょう。教皇の補佐役であり、時期教皇は枢機卿の中から選ばれます。

そして、大司教、司教は、教区(1人の司祭が管轄する地域のこと)を管轄。司教が治めれば司教区、大司教が治めれば大司教区となります。

司祭は司教の協力者。教会の儀式や典礼などを執り行います。

一方、牧師には階級制度がありません

階級制度がないなんて、さすが自由主義のプロテスタント!

職名にはとっても大切な意味がある

神父と牧師はどちらも聖職者だと思っていた方も多いのではないでしょうか。

実は、聖職者はローマ・カトリック教会で司祭などの職位についている方達のことを言います。

よって、神父は「聖職者」が職名

一方、プロテスタント教会では、基本的に階級制度がないため特定の人を「聖職者」とは言わず、「教師」と呼ぶのが一般的。

よって、牧師は「教職者=教師」が職名となります。

細かい!!

性別はイエス・キリストにまつわる

諸説ありますが、カトリック教会はイエス・キリストが意図的に男性のみ12人を弟子(使徒)に選んだと言われています。

そのため、神父(司祭)に限らず全ての聖職者は伝統的に男性のみとされています。

また、女性が聖職者になりたい場合は、「修道女(シスター)」になる方がほとんど。

一方の牧師は、聖職者ではなく教職者のため男女ともに牧師になることができます。

職名が肝とは!

結婚したければ牧師になるべし

神父は聖職者であることから、結婚は認められていません

神父は神と人に一生をお捧げする立場、独身を守ることを決意した男性信者が選ばれます。

24時間365日、誰かのためにいつでも自分をお捧げできるようにしておくため、一人でいるということですね。

なお、主キリストが生涯独身だったこともあり、主に倣うためという説もあります。

一方、牧師は教職者であることから、結婚は認めらています

結婚といえば、結婚式に登場するのは神父と牧師どちらですか?
基本的には牧師がほとんどです。カトリックの結婚式は規律が厳しいのです。

神父は基本的にふたり、あるいは一方がカトリック信者でなければ結婚式をあげることは認められていません。

一方の牧師は、信仰宗教に関係なく誰でもキリスト教式の結婚式をあげることができます。

そのため、本物の牧師ではなく一般の方がアルバイトとして行っている場合も多いようですよ。

神父と牧師のあり方は個々の聖職者の考えでも変わる!

今回解説した神父と牧師の違いは、あくまでも一般的に知られている違いです。

特に服装に関しては、全く祭服を使わない方、逆にもっといろいろなアイテムを持っている方もいらっしゃれば教派によっても違います。

一人一人、神父や牧師、聖職者の考え方によっても違うことでしょう。

「こうでなければならない」ということはあまりないのかもしれませんね。